猫の歯肉口内炎

歯肉や口の中の広い範囲に、細菌やウイルスなどの感染や自己免疫などさまざまな要因により、非常に強い疼痛を伴う炎症がおきることがあります。

下記の写真は猫の口の中ですが、歯肉全体からのどの奥につながる部分の口腔後部と呼ばれる部分まで、炎症がおきて赤くただれています。

このような進行した口腔内の炎症は、抗生剤や消炎剤などの内科治療のみでは痛みをとることが難しくなります。

外科治療として、抜歯や炎症部位へのレーザー治療などがあります。

治療の要は、歯牙を保持する歯周組織の感染を押さえること。

抜歯は細菌が取り付く場所をなくし、さらに炎症部位の除去をおこなうことで、口腔内の細菌数を減らす。それにより炎症を抑え、痛みをとり、ご飯を食べられるようになります。炎症を起こす細菌は多くありますが、その中には嫌気性菌と分類される細菌が検出されることもあり、歯周組織の奥、また歯の根に生息し病態を形成する一因になっていると考えられます。

それら細菌を取り除くために、抜歯を含む外科治療は有効と言えるでしょう。

抜歯を行った場合、約60%の症例で完全寛解がみられるとの報告もあります。猫の歯肉口内炎は、個々に病状も異なり比較的経過が長くなってしまう場合があります。

十分なインフォームドのうえ、治療を受けていただけたらと思います。

追記:下記写真の患者さんは、抜歯を行いご飯が食べられるようになりました。