猫;歯頚部吸収病巣
猫が、歯を失ってしまう原因には、犬と同じように歯周病や破折がありますが、猫で特異的にみられる病気があります。
そのひとつに、歯頚部吸収病巣があります。


上の写真は、猫の右上顎第3前臼歯、第4前臼歯です。
左側は、処置する前の写真ですが、歯に歯垢歯石が付き、さらに歯肉が部分的に小さく膨らんでいるところがあります。
さらに、左側の写真は、きれいにクリーニングした際の同じ歯ですが、大きいほうの第4前臼歯の歯のほぼ中央に、小さく膨らんだようにみられた歯肉を除いてみると、その下の歯質が部分的に削れたようになくなっているのがわかります。
これが、歯頚部吸収病巣という猫特有にみられる病気です。様々な要因で、歯肉から新しいに肉芽組織が増殖し、そこに歯を壊す破歯細胞のはたらきにより、歯質がなくなってしまうのです。このような歯は、強い痛みを伴い、時間の経過とともにその病巣が大きくなってきます。病巣が大きなものは抜歯しなくてはいけなくなりますが、極初期に発見できれば、修復治療を行うことができます。なかなか発見が難しいですが、とても多い病気です。