●顎の腫れ
犬や猫でも、もちろん歯の異常や口の中の炎症やできもの(新生物)により、頬や顎が腫れてきます。
歯周病や折れた歯などが原因で、歯の根(根尖)に炎症が起きると、歯を支える歯周組織に炎症が拡がり、次第に歯槽骨が破壊し、頬が腫れたり、
顎(下顎骨)が、腫れたりします。
これは、下顎が腫れたイヌの患者さんの写真です。
左は、口の中の写真ですが、腫れた部分に大きな下顎第1後臼歯があります。この第1後臼歯には、歯垢の付着と歯肉辺縁より排膿が見られました。グラグラした様子は見られませんでした。レントゲンを撮影したところ、歯の根の全周にわたり歯を支える歯槽骨が融けていました。歯周病による著しい下顎骨の炎症が疑われ、下顎骨の中央を走る骨髄にも炎症が波及していることは十分考えられます。そのため、顎骨の腫れが起きてしまったと思われます。
このような症例の場合、通常の歯周病よりも強い痛みがあると思われますので、早期に抜歯と口腔内の清浄が必要になります。
口を開けた時に見える、歯石や歯垢による汚れは、思ったよりも比較的広範囲に影響を与えていることが多く見られます。
顔や口の周囲を触って、とても嫌がるときは、見えないところの痛みのサインであるかもしれませんね。