歯質の異常

写真は、マルチーズの患者さんです。
歯の色が黄色いと心配されて、来院されました。まだ、1歳未満ですので全体的に歯垢や歯石による汚れは見られませんが、上の歯の切歯の何本かの一部が黄色くなっていました。
歯の変色は、表面に歯垢などが付き茶色や黒くなって見える場合と、歯の質に問題があり、歯自身の色が変わる場合があります。
この患者さんの場合は、後者になります。
表面に出ている歯(歯冠部)は、エナメル質という陶器のようなつるつるした構造物で覆われています。このエナメル質が、成長過程でうまく作られず、脆かったり、または欠けてしまったりすることがあります。(エナメル形成不全)その場合、歯の表面がざらざらし、汚れが付きやすかったり、また表面から細菌が感染することもあります。
痛みなどの症状がみられることは稀ですが、放置しておくと、早い時期から歯周病になりやすかったり、感染した細菌により、歯を支える組織(歯周組織)まで、傷んできます。このような症例は、エナメル質の代わりを人工物により作ってあげる治療をします。